Mute Channel 全アルバムの解説

competorです。

Chilodiscレーベルから、Mute Channel名義でvaporwaveの作品を発表しています。

解説というか、覚えていることを覚えているうちに、文字に起こしておきます。

 

 

1. Carnival of twilight 黄昏のカーニバル (2014)

タイトル『黄昏のカーニバル』は、同名の清水義範氏の短編小説から借用。このアルバムの持つ世界観、バックストーリーは、すべてこの小説から受けたイメージが元となっています(Mute Channelというアーティスト名も)。世界の終末後、人類が絶滅したことを知らない放送局が永遠に流し続ける、人類がいたころの、人類のための音楽だったものたち。

 

1.Sunset 01:48

パナホームサウンドロゴが極限まで引き延ばされている。万人向けの内容ではないのでこの1曲目を耐えられるかどうかでリスナーを振るいにかけています。

2.Eternity 01:36

「音楽しか視えない」不思議な位置でループするのはvaporwaveマナーに則っている。聴きやすいですね。

3.Travelling nowhere 01:02

「自然界からの贈り物 吹き出す温泉 浜辺の岩風呂 湯加減グウ」

頭と終わりのジングルの心地良さが、2nd「平白氣形」の世界へと繋がる。

4.Consumption 02:10

「買ってしまうと邪魔になるのよね」

ダスキンのCM。セリフ終わりで曲を変化・終了させる手法は今後も良く出てきます。

5.Copy 02:24

「明日は変わるでしょうか コピーは変わるでしょうか」

コピーは三田。あのCMが良いので。「コピーは」と「変わるでしょうか」を繋ぎ合わせてループから抜け出せないようにしている。

6.Ringing bells 01:30

「自然と人間そして愛 美ヶ原高原美術館」「はるかな時を超え 海を渡り 集い」

美ヶ原高原美術館。あのCMが良いので。1stは私がもともと好きなCMを使うことが多いです。

7.Human dreams 01:50

「よかったね うれしいね 毎日の暮らしをバックアップ 日動火災です」

この原曲は本当に良いが元ネタCMを失念。スローダウンしたストリングスの温かみ。冬のイメージ。

8.Drama 02:06

元ネタ不明。ラストで音を伸ばし続ける手法は3rd以降で激化していきます。

9.Infinite Unconscious 02:20

「人は皆、自分の物語を持っている」

タイトル名は、このアルバムジャケット画像のEric Zelinskiの作品名より勝手に拝借。

かなり引き延ばされているのでテープがヨレている。もうメンテできる人はいないから。終わりのレスタ地帯の高音ドローンが美しくて良い。

10.Sink 01:30

「地獄に落ちた」「神様に背いたインゲル 地獄に落ちた」

トラウマアニメ、パンを踏んだ娘。あまりにも単語が強力すぎるのでアルバムのイメージを固めてしまうのではないかと、収録するべきか最後まで悩んだ1曲。

11.Fashion 01:41

「新たなる感性の?? ファッションアドバイザー エドヤがトータルコーディネートいたします」聞き取れない上、元ネタ不明。

tr.8に次いでこれも音伸ばし。たぶんこの曲で「この手法でもっといけるぞ」と確信を得たのでしょう。

12.Life 02:27

「いろんな命が生きてるんだなあ」

重低音の鐘の音より始まる、トリスウイスキーの犬のCM。

13.White death 01:59

「雪うさぎ 雪うさぎ あなたのおめめはなぜ赤い? 母さん夢見て泣いたから」

いい歌詞、いい曲。いいアニメ。名CM。

タイトルは多分、降り積む雪から死の灰を連想していたからなのかなあ。

14.TV dreams 02:46

いままでのドロドロのスクリューから解放されたクリアな口笛が心地よい、フィナーレ前の休憩曲。TVは夢を見ている。

15.Carnival of twilight 04:04

「 自分の歳気になる?」「これからよね」

フィナーレ。ここの0:33で新たな手法、スクリューで音階を生み出す(音MAD的な)を利用。その後はセリフも聞き取れない超低音のドローンへ。しばらくループした後にスタート位置に戻されると眠りから急に目が覚めたような錯覚。「これからよね」の意味深なフレーズの後にまたドローンに突入するが今度はコーラスが徐々に積み上げられ協和音を成型する。

アルバムラストのセリフは「黄昏のカーニバル」。

 

2. 平白氣形 (2014)

一番キャッチーなアルバム。前作の手法『音伸ばしでドローンにする』『スクリューで音階を生み出す』を活用した作品。1stのような暗い設定面が薄まっていて、もっと単純にCMのスクリューでどこまでできるのかを色々と挑戦している作品。

ジャケット画像は前作に引き続き Eric Zelinski.

1.Fortune 02:46

「お仏壇のはなや ご家庭の幸せを願い 安らぎの世界を造る」

仏壇店のCMのせいで、いきなり死の香りに。

一段ずつ下っていくメインメロディーが作れた時は手ごたえを感じた。やっぱこの手法でいけるよと。

2.Secondary 01:23

いきなりドローン30秒。このアルバムは、より短いサンプルからどれだけ遊べるのかを探っていたので、こういう極端なものも少なくない。

3.Hand 01:48

「暮らしのメイクアップ 手芸オリジナルコレクションシリーズ」

実験的。コーラス部のループで、一定回数ごとに徐々にサンプル元の長さを伸ばして『手芸』というセリフが割り込んでくるイメージに。

曲のラストで夢から覚めたように最初のセリフに戻るのは、良く使う手法です。

4.Flavor Tea 02:27

「はこ茶をどうぞ」「はこ茶を飲んでます」

4音のジングルのピッチを変えてメロディー化。どんどん速度も音程も落ちていき、最終的にはどうしても低音ドローンの世界へ行きついてしまう。

5.Beautiful Nature 01:26

「母なる湖がある 父なる山並みがある 美しい自然に恵まれたふるさとを 私は好きです」「お日様のように輝く リンゴ色のほっぺとつぶらな瞳」

間奏曲1。

6.Plains 02:29

「好きな人が出来ました」「耳をすませば

平。ドロドロに融けたカントリーロード。音伸ばしドローン。

7.White 01:55

「ユキちゃんの便りは麹みそ」

白。どんどんスローダウンしていくだけの曲、安易だけど好き。

8.Atmosphere 01:57

氣。tr.4に続き、こちらも4音に音階を付けたパターン。私は音が4つあれば曲が作れるのだという不思議な自信を得た。

9.Shape 03:08

「ご先祖へ敬う心を石碑に刻む」「ここへ来ると心の安らぎをもたらせてくれます」

形。永遠に抜け出せないループ系。

10.Copy 2 01:52

1stに続いてコピーは三田。ループの仕方がvaporwaveマナーに則っていて素直ですね。

11.Cleansing 02:58

洗顔の後のお肌をしなやかにする お顔のリンスでお肌がしっとり」

「燃えてしまいそうな真っ赤なオレンジに」

メロで始まりサビが入ってまたメロに戻るというポップな構造を持っている(という事に気付くとなんか笑えてくる)

writing suicidal : Mute Channel「平白氣形」

全く別のCMを1曲にまとめる、という他の曲ではやらないことにトライした作品。

12.Evening 01:17

「願いをかけたお酢の物」

間奏曲2。これ元ネタ何だろう? 0:56 の落下がやりたかっただけでは。

13.Black 02:18

「ノルマンディーの風が吹き渡る」

終盤に向かう、哀愁のある1曲。繋ぎ目が分かりにくくて良い。

14.Heart 01:59

とにかく終盤へ向かいドロドロと。このあたりの曲になると、1stに比べ相当ピッチが落ちている。これでもかと音伸ばしドローン。

15.Celestial Mind 02:07

タイトル名は、このアルバムジャケット画像のEric Zelinskiの作品名より勝手に拝借。

フィナーレ前に軽めの優しい曲を入れてあげて、聞き手をリフレッシュさせる役割を持っている曲。ほぼ加工無しなのもそのため。あっさりと。

16.Atmosphere 04:43

「豊かな香りのある UCCコーヒー」

 ピアノとストリングスの途切れの無いループが奏でる美しいフィナーレ。ここまで聞いてくれてありがとうの気持ち。アルバムラストにしては加工は控えめで豊かな香りがある。UCCコーヒーのサウンドロゴを最後まで言わせないようにループをかけているのは意地が悪い。

※tr.8とタイトルが同じことに気づくのはリリース後しばらくしてからでした。

 

3. Garden (2016)

某レーベルよりウチでリリースして欲しいという打診が来たので2年ぶりに制作したアルバム。ジャケットは冬の美ヶ原高原美術館。アルバムのテーマは『死へ訪れる』。

1.TV City 00:58

「日立テレビシティー

それなりにコンセプトを決めて作っているので、イントロ曲は荘厳にしたいですね。

セリフを途中でぶつ切りすることで次の曲へ滑らかに移動させるというテクを使っていますよ。

2.Separation 01:17

「時の窓からいろんな音が 色が 香りが 風が吹いてるね」

まだイントロ2。起承転結の起の部分ですね。この曲のラストの不気味なチョップから次の曲へ。アルバムが始まります。

3.Opus 03:09

「髪はますますシルクへ」「新しいLUXスーパーリッチ 髪と同じ成分で補修と保湿」

ディレイは初登場なのではないか。アルバムのリード曲。この曲はピアノの美しさが増すようにメロディを変えているので単純なループではなく、単体の曲として様々な変化をつけている。

4.Sun 01:54

「なんでだろう」「麦100%だから泡までうまい サントリーモルツ」

間奏曲。後半は遊びまくり。元ピッチと1オクターブ落としたものを重ねて重厚にしてみたり、速度を半分にしたものと同時に流してみたり。

5.Fountain of Flowers 01:19

花泉

2ndの系譜が強い1曲。

6.New Tax 00:47

「4月1日 消費税スタート」

ちょうど増税のニュースをやっていた頃だったような記憶があります。増税嫌だよねえの気持ち。曲は極めてシンプル。3rdアルバムは重要な曲以外はあっさりしているのが特徴的。

7.Field Air 01:54

これもあっさり、ほぼ無編集。何を言っているか分からないくらいピッチは低い。

8.Alter 01:51

「もみじの手のひら合わせましょ ご先祖様もみてござる 安らいで」

珍しくビートを感じるエディット。こうもあっさりした曲が続くと虚無ですね。曲を聴いてるんだか聴いてないんだかよくわからない感覚に陥る。

9.Mute 02:29

ダークな曲。もはやメロディーもよくわからないほど溶けてしまった状態。

10.Eternity 04:27

「泣きながら」

極限までスクリューされたセリフのピッチが順に下っていくだけなのですが、このアルバムの結構重要な1曲だったりします。死へ一歩一歩進んでいかざるを得ない状況。

この曲以降の3曲はセットの組曲なので、実質これはラスト前の1曲でした。

11.Heaven's Gate 01:53

「春日井の」「最後の一粒を好きな子にあげた」

天国の扉に向かって歩んでいるイメージ。曲全体がどことなく不協和音で居心地が悪い。テーマが死なので、死に向かう=音階を徐々に下げる手法がアルバムを通して繰り返し使われています。前のtr.10からどんどん音が降下しているので不安な気分になっていくことを意図しています。最後の一粒。

最後のハープが半音ずつ上下にシフトする不安なメロディーを聴きながら次の曲へ。

12.Heaven 05:11

「落ちにくいメイクも素早く落とすクレンジング」「新しい素肌に透明感を育むスキンケア 開放 再生 透明感」

天国の鐘。数回のループの後にtr.4で覚えたオクターブ重ねの手法により、人ではないモノが語りかけてくるような声色に。開放、再生、透明感。

セリフの後はひたすら広大な空間に虚無のアンビエント・ドローンのみが数分持続する。私の肉体、精神がこの先でどうなっていくのか分からないままこの先へ歩むしかない状況。落ちにくいメイクも素早く落とすクレンジング。新しい素肌に透明感を育むスキンケア。開放、再生、透明感。

13.Garden 04:19

「ビール職人が作りだした 誕生 キリン」「それは麦の生み出す深い味わい」

天界の楽園では、天使たちのコーラスの中、酒の神が渡したビールの杯で祝福されながらこのアルバムは終わる。死の後の希望。

今作の楽曲はダークな印象がかなり強いです。…しかし、今作の本性はそこではありませんでした。12曲目の「Heaven」はスクリューされた音声とその重なりが生む違和感/恐怖感、タイトル通りの状況を落ちにくいメイクを素早く落とすクレンジングで作り出そうとする強引さから来る笑い、そして後半のアンビエント風のパートから生まれる純粋な感動…と、いままでのMute Channelの作品(と、今作)に含まれていた要素が、解放と再生を繰り返す秀逸な曲展開の中で交差する濃密な楽曲になっており、そこから光溢れる新境地「Garden」に辿り着く終盤2曲の展開がとにかく強烈なのです。今までのMute Channelの作品にはずっと「死の匂い」を感じるということを書いていて、今作も終盤まではそういう風に思いながら聴いていたのですが、この後半2曲に関してはもう曲名通り別の世界に召された感が半端無いです。

writing suicidal : Mute Channel「Garden」

 素晴らしいですね、このレビュー。

 

4. Unseen Finale (2017)

ジャケット画像が人類の滅亡のシーンなのにアルバム名が『見たことのない最後』なので、我々は未だこのラストシーンを見ていない状況にあることになる。それでも最後は来るのだし、どういう最後が訪れるのかも予想はしていて、あとはもうそのシーンを見るだけになっているよ、という人類の現在置かれている状況などを想像しながら曲を作っていました。

1.Film 03:05

「なに言ってんのこどものくせに なに言ってんのオバケのくせに」

大林宣彦監督の映画「ふたり」予告映像。ジャケットも映画だから、という繋がりから作られた序曲。声の少女感を残したかったので、最後のセリフはピッチ変更を極めて浅くしてある。

2.Mellow 01:42

「マロニーはハートウォーミングな食べ物です」

 落ちていく音階と聞き取れない低速ピッチは前作から引き続き。

3.Each time 01:54

「時は踊る 時と遊ぶ」

メロウ。大阪後楽園ホテルのCM。悲鳴のような高音の正体は指笛で、これが鳴ると時の流れが逆転し巻き戻るという映像となっている。

4.Faraway channel 05:21

「チャンネルの向こうから」

リード曲。3rd以降、各アルバムに1つはただただ美しい曲というのが入るようになった。下る音階の手法はいつも通りですがそこにディレイが加わって良いアンビエントに。低音がドロドロに混ざり合っているのは性癖なのでこれをクリアにするのは勿体ない。

前半のハイライトにあたる4曲目「Faraway channel」。スクリューという、構造自体は単純な手法が生んだ偶然のアンビエントが、”チャンネルの向こうから”何かを聴き手に運んでくる5分間。

writing suicidal : Mute Channel「Unseen Finale」

5.Orchids 03:35

「ラン 咲きました」

半分の速度まで落としたループの繰り返し。これで4分はちょっと長かった。。。

6.Vitamin call 01:38

「肌にぴったり」

明るい曲。明るすぎたのかもしれません。メロディーをやろうとして、どうもうまくいっていない感じがする。私のテーマに対して曲がキャッチーすぎるのかなあ。

7.Health 02:18

「私は健康です」

セリフがなんどもリフレインしていく様は洗脳のよう。

8.Green wind 01:58

「あなたとは 多分 何度か会っています」

メロウ。間奏曲。極めてシンプルなループ。

9.All the time 02:02

メロウ。ループとピッチ変化のみのこれもシンプルな構造。盛り上がりどころを外して沈んでいくのは意地悪ですね。単純なビートの繰り返しで落ち着くと思うのでそのままもっと落ち着ける次の曲へ。

10.You 03:15

メロウ。元曲が比較的ちゃんと聞ける、後期アルバムにしては珍しい曲。

次のラスト曲を効果的に聴かせるためにずっとメロウで落ち着く曲を並べています。

11.Unseen 05:57

「見たこともないもの見てみたいな クジラのダンス 北の国のオーロラ ありんこのなみだ いつかきっと見れるよね」

実質ラストの大曲。どんどん増えていくコーラスたち。ポコンという音が大好きです。ラスト曲で感動させたいという意思は前アルバムから引き継がれています。

これは素直にそのままの意味で聴いていただければ幸いです。『見たこともないもの』が、見たいものなのか、見たくないものなのかは、不明ですが。でも、希望であってほしい。

12.Finale 03:25

ラスト後の余韻のための1曲。深呼吸のような。見たことのない最後。

ラスト手前に配置され、タイトルの意味の一端のような物が明かされる6分近い長尺曲「Unseen」。これ、個人的には今までのMute Channelの楽曲にはなかった種類の感動を覚えた楽曲です。曲自体はシンプルなループにピッチの違うループが大量に重なってきて不協和音に近い響きを鳴らす、という構成になっているのですが、Mute Channelの楽曲には珍しく元ネタになった曲のエモーショナルな旋律を残したまま展開する点と、そこで歌われる「見たこともないもの見てみたいな」という切実な思いが共鳴して、This program is brought to you, bye,の「Sunset Cruise」、もっと言ってしまえばVektroidの「月」を初めて聴いた時のような得も知れぬ感動を覚えました。今作は総じて、今までの作品ではあまり感じられなかった「感情」の存在を感じることが多かったように思います。今までのMute Channelの楽曲にあった感情はあくまで「聴き手が感じたもの」だったと思うんですよ。ただここには最初から曲の中に感情の存在が内包されているように思えるような気がします。そうするとこのジャケットと幕開けが「Film」という曲であったことにもちょっと強めの意味を感じてしまったり。前作に続いてまたこれは新境地なのでは?…かと思えばラストで鳴り響く「Finale」。歪んだピアノの音がひしゃげたナレーションを引き連れて残響の海へと漕ぎ出し、他の曲から聴き手が受け取った感情を全て蒸発させていくアンビエント…。

writing suicidal : Mute Channel「Unseen Finale」

 素晴らしいですね、このレビュー。

 

5. The Sun (2019)

2019年にvaporwave関連の書籍が出るので久しぶりに作ってみた作品。最もローファイで、最もリバーブが効いていて、全ての音がドロドロに溶けているスープ状のアルバム。

ジャケット画像はムンクの『太陽』という作品。これ実物を見たら泣いてしまうんじゃないかな。とても好きな作品。

1.The Sun 02:42

ジャケット画像のイメージそのものの曲。荘厳で、神々しくて、凛とした、生命の源である、冬の太陽。

2.Light Sleeper 01:46

「浅き夢 淡き恋」

井上陽水。進むことないループにとらわれて抜けることのできない曲

3.Ivory Tower 02:16

Mute Channelらしくない泣きのギターの曲。元のコードが良いので2分でうまくまとまっていると思う。太陽の力強さを表現しているのかもしれません。

4.Whisky 01:49

知ってる曲だ、とおもった直後に裏切られて悪酔いしたまま1分以上続くドロドロのダーク・アンビエント・ドローン。地獄はここにあります。

5.Pocket Bell 01:34

ポケベルが鳴らなくて

ポケベルのアラーム音が良かったのでディレイが凄いです。

嵐の中の愛のように、このあとすぐです。

6.Wait 04:09

「待って 欲しいんだよ」

待ってという叫び声が響く4分間。音程が上がるとセリフの迫力も上がるのは面白い。

しかし彼は追いつくことがないまま力尽き、無情にも曲は終わりを迎える。

たったこれだけの1つの素材で、こういうストーリーを生み出せるので、vaporwaveは奥が深い。

7.Town 02:22

tr.6のセリフ『待つ』に、『町』を掛けた連作。tr.5同様に鳥のさえずりが良かったのでディレイが凄いです。ラストのピアノの低音が凄いね。

8.Windbell 04:12

『ただただ美しい曲』枠。キラキラと鳴る音が良かったのでディレイが凄いです。この音は太陽の光を表現しているのかもしれません。

アルバムのリード曲であり、前半のラスト。

9.Drunk Driver 04:29

アルバムの後半へ。もう、救いようがないほどにドロドロになってしまった。曲のテーマはタイトルの通りの飲酒運転での泥酔状態。多分このドロドロの精神状態で、車はアクセルを踏続けてしまっています。

なんか、硬質な音色とドローンなので、ビデオゲーム「Thumper」のサントラを彷彿とさせているように思っています。

10.New Road 02:00

虚無のループ。

11.The Red 02:37

赤福。この曲は太陽の暖かさを表現しているのかもしれません。

12.Remote Ancestors 05:02

「家族の思いで ご先祖の安らぎ」

ギタードローン。ラスト前で平穏な状態だけど視界も音も靄の中で先は見えない。後半

13.Fog Alarm 08:30

ラスト曲。日本海には海上濃霧警報が出されています。雨の降る確率は0%です。

コーラスの声のようなものは、伸び切ってもはや原形をとどめていないピアノの音。日本海には海上濃霧警報が出されています。太陽はもう見えず、前の曲から続いてまだ霧の中にいます。ここは現世なのでしょうか?日本海には海上濃霧警報が出されています。生きているのか死んでいるのかも良く分からない。晴れ時々曇りでしょう。進んでいるのか戻っているのかもわからない。日本海には海上濃霧警報が出されています。内陸地方の明日は東または北寄りの風、晴れ時々曇りでしょう。雨の降る確率は0%です。明後日は北寄りの風、晴れ時々曇りでしょう。太陽に希望を見出したのにその太陽は霧で全く見えなくなってしまった。日本海には海上濃霧警報が出されています。

日本海には海上濃霧警報が出されています。